キツネはイヌ科キツネ属で、皆さんが最も目にする赤毛のキツネがアカキツネという日本の本土に古くからいるキツネです。北海道にいるキタキツネはアカキツネと容姿は似ていますが、体格は一回り大きいです。

 アカキツネの体重は見た目より軽く、5、6キロ程度で、柴犬の半分しかありません。食肉目に属するので、食事は小動物や昆虫を食べていますが、果物などを食べることもあります。寿命は10年程度あるようですが、野生では環境の厳しさから2、3年程度しか生きられません。

 実は、キツネはわが家の敷地内に夜な夜な出没しています。以前、飼育していたウコッケイが何度かやられたと連載記事に書きましたが、夜中に犬たちが騒ぎ出す時は、大抵キツネがやってきていて、何か餌はないかとうろうろしています。犬たちが囲いの中から出て来られないのを分かっていて、平気で囲いに沿って歩いています。深く掘った穴にイノシシの内臓を10キロ以上入れて埋めていても、跡形もなく消えています。その場で大量に食べたり、残りをねぐらまで持ち帰ったりしているのでしょう。オオカミは1週間分ため食いできる腸の構造をしていますが、キツネもまた同じ肉食動物なので、ため食いできる腸の構造をしているようです。

 それにしても、地面深くまで穴を掘る力や、大量の内臓を食べたり持ち帰ったりする力には驚かされます。これが、厳しい自然の中で生き抜く野生動物のすごさなのですね。ある日、2階の窓からキツネの行動を確認できたことがありました。犬たちが一斉にほえると、いったん姿を消し、またしばらくして戻ってきてを何度も繰り返していました。犬が何もできないのは分かってはいるけれども、さすがに20頭を超える数の犬たちが鳴きだすと圧倒されるようです。

 キツネは、日本にいる肉食動物で最大の大きさでしょう。オオカミや野犬がいない山では、一番のハンターなのです。しかし、キツネの大きさでは、シカもイノシシも捕らえることはできません。せいぜい、産まれたばかりの子ども狙える程度です。キツネよりも強い肉食動物が生態系の頂点にいない日本では、生態系が崩壊して当然なのです。キツネよ、もっと強くなってくれと思っても、キツネに願いは届きません。キツネは、今夜もニワトリを襲ったり、ネズミを捕らえたりして食事にありついていることでしょう。
(獣医師・川村康浩)