◎地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題/川瀬宏明 著

 地球温暖化と雪の関係を研究する著者が、過去や将来の気候をシミュレーションする「気候モデル」を活用した知見を紹介する。二酸化炭素など温室効果ガスの増加が、近年の気温上昇の本当の原因なのか。こうした問いに答えるために活用されるのが気候モデルだ。

 過去の気候を再現する気候モデルでは太陽の活動や火山噴火など人が関与しない自然的要因と、温室効果ガスの増加といった人為的要因を考慮する。このシミュレーションで、人為的要因がなかったと仮定して計算すると、1960年以降に観測された気温上昇は見られない。つまり、近年の温暖化の背景に人間活動があると分かる。

 将来を計算するとどうなるだろう。現在と同程度の温室効果ガス排出が続いた場合の21世紀末、日本の気温は100年前より年平均で4~4.5度程度上昇する。厳冬期が短くなるなどして雪の総量は全国のほぼ全域で大きく減る。ただ、厳冬期だけをみると、北海道の積雪量は増え、東北の山沿いはさほど変化はないという。こうした現象が、どんな事象をもたらすのか。

 本書で不気味に登場するのが、2100年2月X日の天気予報。「明日は高い山でも雨になりそうです。南から暖かく湿った空気が流れ込み、大雨になるところもあるでしょう」「雨に加えて、融雪に伴う雪解け水が一気に川に流れ込みます」「河川の増水や氾濫に警戒してください」。北日本の真冬の降雪量はそれほど変わらない一方で、春が一気に訪れて新たなリスクが生じる-。未来の天気予報は、温暖化に有効な手だてを打てずにいる人類への警告にも聞こえる。

 著者は気象庁気象研究所応用気象研究部主任研究官。本書で、日本の雪の特徴や温暖化のメカニズムなども解説している。

 ベレ出版03(5225)4790=1870円。