むかしのまんまむかしのまんま 笹氣出版 編

 日本最古の草木染「正藍染(しょうあいぞめ)」は、栗原市栗駒文字の千葉家が伝承する奈良時代の染色技法。藍の種まきから染めまでの全工程を代々、女性たちが守り続けてきた。後世に伝えたい貴重な伝統文化の記録をまとめた。

 正藍染の特徴は、人工的に加温しない点にある。水が人肌にぬるむ初夏の時季のみ、自然発酵させた藍水で生地を染める原始のままの技法だ。

 藍も自給している。春、畑に種をまき、夏に刈り取り、秋冬に乾燥させ、翌春、発酵させて藍玉を作る。栗駒山の山裾で、四季に寄り添いながら手仕事を続けている。

 かつて文字地区では、どの農家でも女性たちが野良着や浴衣を染めていたが、明治以降に化学染料が普及し、労力のいる正藍染は廃れていった。ただ一人、この仕事を続けたのが1955年に人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定されたあやのさん(80年、90歳で死去)だった。

 あやのさんは藍の作付けが禁止された戦時中も「藍神様から授かった仕事」と、ひそかに一年草の藍を栽培し、種を守った。藍一筋に身をささげた母の思いを、長女よしのさん(2009年、99歳で死去)、孫嫁のまつ江さん(90)が受け継いだ。そして今、その姿を傍らで見てきたひ孫の正一さん(70)が継承しようと、精進を重ねている。

 笹氣出版022(288)5555=2200円。