古関裕而・金子その言葉と人生 古関正裕監修、菊地秀一 著

 4月スタートのNHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデル、福島市出身の作曲家故古関裕而さん(1909~89年)の生涯を分かりやすく紹介する。「栄冠は君に輝く」「六甲おろし」、そして64年東京五輪の行進曲「オリンピック・マーチ」。誰もが知る名曲の数々がどのようにして生まれてきたか。朝ドラがいっそう楽しみになる。

 古関さんの生家は8代続く呉服屋。福島県北の信達(信夫、伊達郡)地方は江戸時代から養蚕が盛んだった。生糸生産とその商いで福島が活況を呈した時代に、古関さんは生まれた。

 子宝になかなか恵まれなかった両親にとって待望の長男で、古関さんは「箱入り息子」で育った。音楽好きの父は当時としては珍しい蓄音機を持ち、余暇にいつもレコードをかけていたという。それが音楽との出会い。おっとりして優しいが、内気な少年を勇気づけたのが音楽だった。

 小学3年で手ほどきを受け、作曲に目覚めた古関さん。福島商業学校(現福島商高)卒業記念の寄せ書きに「末は音楽家」と記した通り、わが道をまい進する。

 妻金子(きんこ)さんは愛知県豊橋市出身で、声楽家を目指す活発な女性だった。英国の楽譜出版社主催の作曲コンクールで2等入選を果たした古関さんに、金子さんが熱烈なファンレターを送ったのをきっかけに運命のドラマが回り出す。

 4章26回。各回冒頭にその回を象徴する古関さんの言葉を引用し、豊富な写真も昭和の空気を伝える。古関さんの長男正裕さんのインタビューもある。構成がテンポ良く、朝ドラの展開と響くようだ。

 著者は「マッサン語録 ニッカ創業者・竹鶴政孝と妻リタの生きた道」「前田慶次 真実の傾奇録」などの著書がある。

 宝島社03(3234)4621=1430円。