えほん・絵本・134冊 増田喜昭 著 新田新一郎 責任編集

 子どもの頃、親に読み聞かせをせがんだ1冊、夢中でページを繰った1冊。大人になっても心のバイブルとなり、立ち上がる力を与えてくれる。絵本には不思議な力が詰まっている。

 三重県四日市市で40年以上にわたって絵本専門店「メリーゴーランド」を経営する著者が、親交の深いアーティストらと絵本の魅力や芸術性について語り、厳選した良書134冊を紹介する。読者を童心に帰らせてくれると共に、あの頃は当たり前だったはずの自由にものを見て感じることの大切さを教えてくれる。

 著者と30年以上の交流があり、仙台市青葉区で子どもの表現教室「アトリエ自遊楽校」を開く新田新一郎さんが責任編集を務めた。いわばサポーター代表の新田さんが「増田ワールド」を1冊に凝縮した力作だ。

 オープニングは対談集。「絵本界のノーベル賞」とされるスウェーデンのアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を日本人で唯一受賞している荒井良二さん(山形市出身)に対する増田さんのほれ込みようは相当なもの。絵の迫力や音楽性の表現を絶賛する。詩人・谷川俊太郎さんとの掛け合いも興味深い。

 全編カラー。134冊を一挙紹介するメインの第2章は夢の世界のハイライトだ。物語に応じて友情やアート、食べ物など18のジャンルに分けられ、増田さんが分かりやすい言葉で書評を記す。「子どもに届く絵や言葉は『ほんもの』でなくてはならない。森も川も山も、子ども向けのものなんてない」と力説する。

 絵本選びにあれやこれや悩んだ時、手にした1冊が放つ絵と言葉の力を素直に感じてみたい。そうした感受性は子どもにはかなわないのだが。対談で出た「子どもが本と出会う場作りを大人が怠けている」という指摘にも耳を傾ける必要がある。(浅)

 学研プラス03(6431)1591=1980円。