まちづくりプロジェクトの教科書 小地沢将之 著

 人口減少時代のまちづくりプロジェクトの在り方を実践的に解説する。財源が先細る中、資源を活用し最大効果を上げることが求められる。企画書作りから資金集めまで、どう戦略を立てるか。まちづくり関係者には必携となる。

 プロジェクトの立案では、まず地域の現状分析が鍵になる。地域が持つ強みと弱みに加え、「機会」「脅威」の四つの視点で考えるとよい。機会は目標達成に貢献する社会情勢、脅威は目標達成の障害になる社会情勢。例えば、中心商店街の活性化を考える場合、「歴史的建築物がある」という強みに、「写真映えする空間がはやっている」という機会を生かすといった具合だ。

 課題設定とプロジェクトの進め方が合致した例の一つに、仙台高専の学生たちが東日本大震災の被災地、名取市閖上で行ったプロジェクトを挙げる。慰霊碑が建立された現場は、元がれき置き場だった。学生たちは心が安らぐ祈りの場をつくることをテーマに掲げ、仮設住宅の住民の協力を得て花苗を育てるといった人的資源を生かして成功につなげた。助成金申請に必要な企画書の書き方も提示した。

 何より大切なのが信頼関係に基づく協働だ。仙台市青葉区宮町、小田原などの町内会による「東六地区連合町内会」は、地元の口コミ情報を掲載するフリーペーパー発行を企画した。創刊準備号を発行直後に震災が起きたが、プロジェクトを通じて養われた連携の機運が被災者支援に役立った。

 著者は宮城大准教授で、専門は都市計画。住民主体のまちづくりプロジェクトや、復興事業などに携わる。(会)

 森北出版03(3265)8341=2420円。