魔女っ子司書の自由研究 八巻千穂 著

 本棚がずらりと並んだ迷路のような図書館内を縦横無尽に駆け巡り、ごまんとある本から求める1冊をずばり探し当てる図書館司書は魔法使いなのかもしれない。

 本書は東北福祉大図書館に勤務する司書が知的好奇心の赴くまま、独自の感性で本や日常の出来事に向き合った「自由研究」。天真爛漫(らんまん)な「魔女っ子」のイメージのまま、気まぐれで多彩なテーマが並ぶ。

 3章構成で、1章は日記をつづった「図書館ジャーナル編」。「ロックでポジティブな人生」を掲げる著者らしく、型にはまらない発想が面白い。人の名前を覚えるのが苦手な著者が編み出したのが、雑誌のタイプに当てはめる方法。ダンディーな外資系出版社の男性は「LEON系」、長めの髪に口数が少なくシャイな男性は「日経ソフトウェア系」といった具合だ。

 2章は読書感想文の「ブックレビュー編」。日本十進分類法の番号順に、歴史、社会科学、建築、エッセーなど12冊を鋭く読み解き、表現豊かに紹介する。あらゆる図書館を考察したアルベルト・マングェル著の「図書館 愛書家の楽園」。図書館を横断した資料の電子化に、著者は神の怒りを買い、崩されたバベルの塔を想起する。知を収集しようとする人類の野望を秘める一方で、知の集合体の構築と継承を試みる人類の挑戦でもあるのだ、と。

 3章のフィールドノート「インタビュー編」では、司書や大学講師、自治体職員ら4人との対談を掲載。司書の使命や存在意義、大学図書館の歩き方を語る。

 著者は図書館を「知を体現するアドベンチャーワールド」と表現。魔女っ子司書は今日もほうきにまたがり、飛び交う本を拾い集めながら、知と出合う冒険に出掛けている。そんな妄想が膨らむ。(江)

 郵研社03(3584)0878=1650円。