僕たちの部活動改革 神谷拓 著

 とある中学校の男子バレーボール部が、部員数の少なさと顧問の定年退職を理由に、突然の廃部方針を告げられる。少々向こうっ気が強い主人公の2年生タクヤ、優等生の3年生ツカサ主将ら現代っ子の中学生たちが知恵を出し、ピンチを乗り越えていく。

 バレーに燃える少年たちを描く青春小説の姿を借りた、部活動の「生徒自治」に向けた処方箋を示す解説書であり、学校現場に意識改革を呼び掛ける啓発本ともいえる。大会偏重による勝利至上主義、いじめや体罰、教師の長時間勤務など、現実に浮き彫りになっているひずみをどう解決し、部活動本来の楽しさを見つけていくか。元宮城教育大准教授で、現在は関西大教授、日本部活動学会長を務める著者が、生徒主体の部活マネジメント論を展開する。

 廃部を避けようとアイデアを出し合うタクヤたち。それまで顧問に任せきりだった練習の立案や体育館の確保を自分たちで行うため、効率的な役割分担を考える。自分たちの良さを表すマスコットネームで1年生にアピールし、4人の新入部員獲得に成功。廃部の危機を脱する。

 実際、「生徒主体」の部活動は多いだろう。だが本書は、子どもを軸に課題の洗い出しや意思決定を行い、教員、家庭、地域がそれを支える、いわば小さな地域スポーツクラブへの脱皮を求めている。全10章それぞれで示された「ブカツのヒケツ」は、著者が塩釜市の中学校で行ったフィールドワークで、部活を巡る21の課題を導いた知見が詰め込まれている。

 地域クラブが発達した欧州と異なり、学校教育がスポーツなどの環境を丸抱えしてきた日本。そんな独特の「部活文化」を改革する主役は、教員の負担軽減ばかりを考える文部科学省ではない。ハードルは高いが、子どもたちの力を引き出すのも大人の役割だろう。(浅)

 かもがわ出版075(432)2868=1650円。