このエッセーを書き始めたころ、わが家のささやかな畑は、夏野菜でいっぱいだった。暑い夏だったが、収穫はまずまずで存分に楽しみ食した。それから、また土を耕し9月下旬から秋冬野菜の種まきを始めた。

 大根、ニンジン、ホウレンソウなどプランターも含め種をまき、間引きができるようになると、再び青虫との戦いが始まった。

 今年は特に青虫が多い。単身赴任中の夫から毎日「野菜はどうだ?」と電話がある。「食われてるよ~」と言うと「毎朝、1時間青虫と格闘しろ!」と叱咤(しった)激励される。そんなにできないよと思いつつ「はい、はい」と聞き流す日々だ。

 毎年同じように畑をつくっても同じようにできないから、野菜作りは難しいが面白い。

 単身赴任先の大船渡で東日本大震災を経験した夫は、長年過ごした街が壊されたのを目の当たりにし、かなり落ち込んだ。それから、多賀城の自宅に帰ってくるたびに庭を手入れし次第に畑に夢中になった。

 何も考えず土に触ることが、精神の安定につながったのだと思う。自然は、時にあらがい難い災害をもたらすが、心の再生と癒やしにもなり偉大だ。

 さて、私たちの活動も秋の「文化の種まき」が始まる。今月26日から11月3日までの「子どもシアター2019」で、主に幼児のための舞台公演だ。

 幼稚園、保育園、児童館の貸し切り公演と、チケットを販売する一般公演(11月3日、エル・パークせんだい)があり、今年は人形劇団ひとみ座の人形劇と、大人対象のペープサート講座と実演を体験するワークショップを行う。

 子どものための舞台公演は、ここ数年団体での貸し切り公演が徐々に増えており、子どもの文化への理解が広がっていることを実感している。毎回、各会場で楽しむ子どもたちの姿を見ているとうれしくなり、頑張る力をもらっている。

 もっと多くの子どもたちが舞台芸術を体験し、健やかにたくましく育っていくことを願い、地道に文化芸術分野の種まきを続けていきたい。文化の種まきの収穫時期は、ずっと先だろうから、まずはわが家の秋冬野菜の収穫を楽しみたい。
(みやぎ県子ども・おやこ劇場代表理事)