暑さ寒さも彼岸まで、という言葉の通り、夜間の冷え込みはまだあるものの、昼間は心地よい暖かさを感じる日が増えてきました。

 この時期は旧暦の春分。太陽が真東から昇り真西に沈む、つまり昼と夜の長さが同じになる時期です。

 家の近所を散歩していると、モンシロチョウやタテハチョウの仲間が飛んでいるのを見つけました。さなぎで冬を越えた子が羽化したようです。道端の日なたや野原では、冬の間、葉を地面にぴったりくっつけて寒さに耐えていたノゲシやセイヨウタンポポ、タネツケバナなどが葉を起こし、花を咲かせていました。

 いつも散策する森に行ってみると、林床にとてもたくさんのカタクリが葉を広げていました。日当たりのいいところではつぼみを付けているものも見られ、一輪だけですが、花を見ることもできました。

 カタクリは、ほかの草木が芽吹くよりも早い時期に葉を広げ、地下茎に養分を蓄えていきます。多くの草木が茂る頃には葉が枯れ、翌年まで土の中で過ごす生活を送ります。一年のごく限られた期間にのみ葉を付けるので、芽を出してから花を咲かせるまで、8年くらいかかるそうです。

 カタクリのように春、ほかの草木が茂る前の、林床が明るい時期に葉を出し花を咲かせる草花は『スプリング エフェメラル(春のはかない命)』と呼ばれます。ほかの草花が活動する前に林床を使う生き方は、とても興味深く感じます。

 散歩道の途中にある砂防ダムの水たまりの日当たりのよいところでは、まだ寒い時期にいち早く産卵するニホンアカガエルの卵が、とてもたくさん見られました。産卵時期が少しずつずれているようで、まだ丸いものから、すでにオタマジャクシに近い形のものまで、いろいろな発育段階の卵が見られました。

 カタクリやニホンアカガエルの卵を観察している間にも、林の中からは、ヤマガラやカワラヒワのさえずりが聞こえていて、草花や動物たちが本格的に活動を始めているのを実感できた一日でした。

 昼間のお出掛けが心地よい季節、活動を始めた動植物をぜひ観察してみてください。
(むかい*いきもの研究所代表)