「観光客やインバウンド(訪日外国人旅行者)もよく写真を撮っている。レトロな字体の看板がポイント」。JR北仙台駅(仙台市青葉区昭和町)で働く吉田泰徳さん(31)が、駅舎の魅力を語る。

 1929年の開業以来改修を重ねてきたが、基本的な造りは当時のままだ。2段階に勾配のついた瓦屋根は、「マンサード屋根」と呼ばれる17世紀フランスの建築様式。晴れた日の構内には、半月窓のステンドグラスから柔らかな光が差し込む。

 1日の平均乗車数は4825人。仙山線では仙台駅に次いで多い。高層マンションに囲まれて、こぢんまりとたたずむ白い駅舎は、昭和の面影を残しながら街に溶け込んでいる。

 駅前で45年から続く自転車店を営む半沢敬一さん(62)は「子どもの頃は、山形から来た行商のおばちゃんたちが野菜や果物を背負ってぞろぞろと降り立った」と懐かしむ。今年は駅開業90年。待合室に腰掛けて、往時の情景に思いをはせるのも良いかもしれない。
(天艸央子)