江戸時代初期の元和6(1620)年、奥州街道の七北田(仙台市泉区)と吉岡(宮城県大和町)の間に宿場町として開かれた「富谷宿」(富谷市)。江戸情緒が残る「しんまち通り」で、ひときわ存在感を放つのが内ケ崎酒造店だ。銘酒「鳳陽」を醸造する。

 寛文元(1661)年創業。宮城県内で最も古い。明治初期以降の建築という土蔵造りの蔵が並び、歴史の重みを醸し出す。

 「凝った所はなく、断熱や防火性能など実用性重視の造りがうかがえる」と代表社員の内ケ崎研さん(69)。シンプルな機能美が時を重ねて深みを増し、訪れる人を魅了する。

 「富谷のシンボルです」と言うのは民芸品店「冨谷宿」を営む佐藤紀雄さん(79)。「酒造りはコメをふかすのに使うまき、おけ、たるなどの関連産業も発展させ、活気を生み出した。宿場町の歴史が今も息づいている」と語る。

 来年は開宿400年。節目の年を記念した交流施設の整備が酒造店向かいで進み、魅力向上への相乗効果が期待されている。
(藤田和彦)

[内ケ崎酒造店]富谷市富谷新町27。黒川郡領主・黒川氏の家老だった内ケ崎筑後(後に織部)が、富谷に宿場開設を命じられ初代検断に任命されたのがルーツ。2代目作右衛門が酒造りを始めた。仙台藩主に酒を献納し「春霞(はるかすみ)」「初霜」の酒銘を賜ったことも。連絡先は022(358)2026。