国税庁の鑑定官は全国にわずか100人ほど。理系学部の出身者ばかりで、酒類やガソリンなどの分析・鑑定のほか、酒類業者の産業支援も主な仕事だ。これからの季節、仙台国税局に在籍する6人は、東北6県の酒蔵を訪ね歩く。

 「健全な発酵や品質向上に向けてアドバイスをする。国税庁の仕事は、税金を納めてもらうだけではない」

 仙台赴任は2017年3月。「東北は寒く自然豊かで、酒造りにいい環境。各県が地場産業として力を入れていることが、全体の技術向上につながっている」とみる。

 栃木県出身。慶応大理工学部卒で、入庁時は微生物の知識はほぼゼロ。かび臭や熟成によるひね香といった日本酒の欠点臭を研修でたたき込まれた。普段から日本酒を飲んでは味や香りについて議論するのが「職業病」だ。

 国内消費の落ち込みなどから、国は日本酒の輸出促進に力を入れ始めた。「日本酒は新時代に入った。海外でいかに売るか。ワインのように分かりやすい言葉で味と香り、ストーリーを伝えることや、食とのペアリングが大切になる」。酒蔵を後方支援できるよう、自身も勉強を重ねている。