小売り各社にとって、物流コストの削減は競争力強化の最重要課題に位置付けられる。モノを積み上げるだけだった倉庫は、今や最新技術で効率化された物流拠点となった。経費を削り、良質な商品を多く、安く販売するサイクルを下支えする仙台圏の物流施設を訪ねた。
(報道部・古賀佑美)

 ひんやりした倉庫に、数字を読み上げる声が響く。「1234、1」。商品棚番号と個数だ。ヘッドセットを付けた従業員が音声ガイドの指示に従って棚へ移動し、数字を声に出して確認しながら商品をカートに入れる。

 西友(東京)が仙台市青葉区南吉成に構える仙台センターは、「ボイスピッキングシステム」を採用。発注書を見る必要がなく、両手が使えて楽に作業できる。従業員が読み上げる声を認識することで、商品の入れ間違いを防ぐ。

 仙台センターは宮城18店、福島2店の計20店をカバーする物流拠点として9月に稼働した。地上2階、延べ床面積1万974平方メートル。冷凍、冷蔵、常温など6温度帯の約1万点を扱う。チョコレート専用庫もある。

 ボイスピッキングなどは親会社の米ウォルマートのノウハウを導入。商品発注システムは取引先や店舗とつながり、売り上げデータから商品を自動補充する。

 西友物流事業部の本橋雄樹エリアダイレクターは「一円でも安い価格でお客さまに届けられるよう努力している。物流部門は工夫する余地があり、効率化への貢献が大きい」と話す。施設内には男女別の仮眠室やシャワー室を備える。「アソシエイト」(仲間)と呼ぶ従業員の労働環境に目を配る。

 一方、東北6県の7生協でつくるコープ東北サンネット事業連合(仙台市)は2015年9月、富谷市成田にドライ統合物流センターを開設した。地上3階、延べ床面積3万7024平方メートル。店舗・共同購入向けの常温品を取り扱う6県の拠点を統合した。

 共同購入の仕分けラインは、デジタルピッキングシステム「アイナビ」を導入した。各戸の受注情報が入った無線機付きのコンテナがコンベヤーで移動。受注した商品棚の前で無線機が点灯し、従業員が該当の棚から表示された個数をコンテナに入れる仕組みだ。

 ゲーム感覚で作業を覚えることができ、ミスを最少限に抑える。注文頻度が低い商品は入れ替えやすい「ジャングルカート」を採用。ライン短縮と同時に1人当たりの作業処理量は1.5倍に増え、生産性が向上した。

 物流拠点の集約で人件費や仕入れ費の圧縮は進む一方、運転手の人手不足などで輸送費が高騰し、県外への配送に課題を残す。河野敏彦常務理事は「輸送ルートの見直しを図るほか、自動運転の技術を研究していきたい」と、一層の経費削減に意欲を示す。

◎倉庫面積、宮城は18%増 ネット通販拡大追い風

 東北運輸局によると、宮城県内の普通倉庫(冷蔵を除く)の推移はグラフの通り。2014~18年度の5年間で面積は18.2%増の143万3160平方メートル、倉庫事業者は14.5%増の198と、インターネット通販の拡大を追い風に右肩上がりに伸びている。

 不動産サービス大手CBRE仙台支店によると、コープ東北のドライ統合物流センターがある仙台泉・富谷地区は特に大型倉庫が集積する地域。仙台港背後地には17年、延べ床面積約6万7000平方メートルのマルチテナント型の倉庫が登場したが、開発用地が限られており、仙台空港に近い名取・岩沼地区も引き合いが強いという。