「安全運転サポート車(サポカー)」の試乗体験会が仙台圏で続々と開催されている。ペダルの踏み間違いなどによる高齢ドライバーの事故が全国で相次ぎ、運転免許証の自主返納が増加する中、ディーラーや損害保険会社はサポカーの普及に向けて情報発信を強化している。加齢による衰えを先進技術で補い、できるだけ長く生活の足を維持してもらう狙いがある。(報道部・高橋公彦)

 塩釜市で昨年11月にあった体験会。前方の障害物に向かって時速10キロ程度で進むサポカーが、衝突まで数十センチの距離でピタッと止まる。運転席に座るネッツトヨタ仙台(仙台市)のスタッフはブレーキを踏んでいない。

 駐車時や低速走行時、障害物への接近を感知して被害軽減につなげる「踏み間違い時サポートブレーキ」だ。誤ってアクセルを踏んだ際にエンジン出力を抑制し、障害物との距離が縮まると自動でブレーキを作動させる。

 同社塩釜店営業スタッフの三浦岳さん(23)は「八つの超音波ソナーで障害物を検知する仕組みで、ガラスのように透明でも反応する」と説明。その上で「システムを過信せず、安全運転に努めてほしい」と呼び掛ける。

 同社で扱う新型の乗用車は、ほぼ全てがサポカーに対応している。参加した塩釜市の無職佐藤久さん(73)は「買い物や会合で毎日車に乗る。高齢になるほど事故を起こしやすくなると聞くため、運転を補助してくれる車が増えると助かる」と話した。

 体験会はトヨタ自動車とあいおいニッセイ同和損害保険が宮城県に提案し、昨年9~12月に仙台市など6市で実施。高齢者を中心に計約350人が参加した。仙台市ではホンダ四輪販売南・東北(仙台市)も実施している。

 宮城県警によると、県内で2018年に発生した人身事故は6815件で、09年に比べ36.1%減少した。一方、65歳以上の高齢ドライバーの件数は横ばいのままで、全体に占める割合は21.4%と7.8%上昇した。

 運転免許証を持つ65歳以上は18年末現在で34万355人。前年から1万3111人増えた。65歳以上の自主返納も452人増の5308人と伸びているが、生活の足を失った高齢者に対する支援は少ない。

 あいおい仙台支店の佐々木祐子支店長は「先進技術のサポートがあれば運転技能を維持し、運転できる年齢も引き上げられる。体験会でサポカーの性能を理解してもらい、車を買い替える際の参考にしてほしい」と語る。

◎後付け装置 販売本格化

 サポカーとともに注目を集めるのが、販売済みの車に後付けできる急発進などの抑制装置だ。国土交通省は昨年12月、トヨタ自動車やダイハツ工業の製品を含む3分類9装置を認定。宮城県自動車整備振興会(仙台市)は「県内の車への取り付けは今年から動きだす」との見通しを示す。

 後付け装置は、主に駐車場でのペダルの踏み間違いによる急発進と衝突の防止が目的。急なアクセル操作を検知すると作動する。価格は本体と工賃を合わせて4万~10万円程度という。

 国交省によると、国内メーカーの多くが今夏以降の商品化を見込む。2021年11月以降は新型乗用車に自動ブレーキの搭載が義務付けられるため、今後の焦点は販売済みの車の安全対策になる。

 政府の19年度補正予算案は、65歳以上のサポカー購入者への補助に加え、高齢ドライバーに装置を販売する業者に2万~4万円の補助を盛り込んだ。業者は補助分を安く販売できる。

 協会によると、装置は自動車整備工場や自動車用品店で購入できる。取り付け作業の難易度はそれほど高くなく、事前予約があればその日のうちに終わるという。

 鈴木博之常務理事は「会員の整備工場からの問い合わせが既にある。補助があれば費用の半分ほどをカバーでき、免許証の自主返納を考える高齢者の選択肢になる。国の認定を受けた製品の情報を提供し、事故抑止に貢献したい」と語る。

[サポカー] アクセルとブレーキの踏み間違い時の加速抑制装置や自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)といった安全装置を搭載した車。車両だけでなく歩行者にも反応するタイプ、時速30キロ以下でしか作動しないタイプなど性能により三つの区分がある。政府はサポカーの普及に向けて、2019年度補正予算案に65歳以上の購入者への補助金を盛り込んだ。新車が最大10万円で中古車も対象。サポカー限定免許の導入も検討している。