東北の個人消費の動向や消費マインドの強さについて、仙台に拠点を置く調査機関の間で見方にギャップが生じている。「消費は底堅い」「回復している」といった前向きな評価がある半面「消費不振は深刻だ」との指摘が上がる。昨年10月の消費税増税への評価も割れる。各機関の判断根拠を基に要因を探ってみた。
(報道部・高橋一樹)

■判断据え置き

 日銀仙台支店は19日、東北の2月の金融経済概況を発表した。個人消費は「消費税率引き上げなどの影響による振れを伴いつつも、底堅く推移」。消費税増税後に表現を変えたが、基調判断は2017年1月以降変更していない。

 東北財務局も1月30日にまとめた直近の管内経済情勢報告で、個人消費は「緩やかに回復している」との判断を据え置いた。こちらは18年10月の発表以降、同じとなっている。

 どちらも根拠としての比重が大きいのは、主要小売業販売額の動向だ。

 例えば、日銀仙台支店は東北経済産業局が毎月まとめる百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンターの販売額を合算。増税後の19年10~12月は前年同期比0.5%減にとどまり、乗用車や家電の販売額を加味しても、消費は冷え込んでいないとの判断に結び付いている。

 岡本宜樹支店長は「特別に節約ムードが高まっているとの話は企業から聞かない。増税や台風19号、暖冬は一時的にマイナス要因になったが、雇用・所得環境が良好なので消費の基調に変化はない」との説明を続けている。

■「不安膨らむ」

 一方、日本政策金融公庫仙台支店が1月29日にまとめた東北の小企業(従業員20人未満)の動向調査によると、昨年10~12月期の業況判断指数(DI)は前期比4.5ポイント悪化のマイナス30.0。同支店は要因として消費動向と直結する飲食店・宿泊業とサービス業で落ち込んだことを挙げた。

 20年1~3月期の先行き見通しはマイナス43.3で、さらなる悪化を見込む。担当者は「小規模事業者からは消費税増税のマイナス面を指摘する声が多い。個人消費への不安は大きくなっている」と明かす。

 企業の倒産動向を追う民間調査会社も「消費の低迷は深刻だ」と一貫して強調する。東京商工リサーチ東北支社の調査によると、19年の東北の企業倒産件数(負債額1000万円以上)はサービス業他が前年比18.1%増の104件、小売業は38.8%増の75件。「個人消費に左右される飲食関連の倒産が目立った」(担当者)としている。

 個人消費への厳しい見方の根拠には、芳しいとは言い難い小売りやサービス事業者の業況がある。対して販売額ベースでの判断は、一部の好調な大型商業施設や勢いを増すドラッグストアなどのチェーン店がプラスに作用する。これがギャップの要因と言えそうだ。

■調査に限界も

 仙台では、初売りがその年の消費動向を占うといわれて久しい。今年の市内の大型店は売り上げが前年並みか微減だったものの、客数は伸びた店もあり堅調だった。

 いずれにせよ、企業の動向調査は消費者の支出を直接探っておらず限界がある。特に、進境著しいインターネット通販の動向は、どの調査にもほとんど含まれない。