地域特産のソバに最新技術 肥料代削減収量3割増

 村山市の村山産業高(大山慎一校長、生徒482人)農業部は、植物の内部で共生する微生物「エンドファイト」について研究している。微生物を培養した特定の菌液を地域特産のソバに与えると、収量が約3割増えることを発見。化学肥料の代わりにこの菌液を使えば、県全体のソバに使われる肥料コストのうち約10億円が削減できると提唱した。実用化に向け研究が進む。

 昨年の研究では、ソバの根部分から約40種類のエンドファイトを抽出。それぞれの菌を純粋培養してソバに与え、比較しながら成長を促す菌種を探り当てた。実際の畑で栽培するソバにその菌液を与えたところ、菌がない状態と比べて約3割の収量増となることが分かった。

■審査会で高評価

 この結果を茨城県で開かれた未来の科学者を発掘する「つくばサイエンスエッジアイデアコンテスト」(今年3月)で発表した。化学肥料をこの菌液に代替することで肥料コストを大幅に削減できると提案した結果、最高賞の一つ「未来指向賞」を獲得した。さらにシンガポールで開催された国際アイデアコンテスト「グローバル・リンク・シンガポール」(7月)にも参加し、英語発表を通して世界へも発信した。

 両コンテストに出場したともに3年の佐藤陽菜さん(18)と笹原悠馨さん(17)は「発表はとにかく緊張した。これからも、やり方を変えながら実験すべきことがたくさんある」と、さらなる展開を見据える。顧問の広瀬僚太教諭(35)は「普段の作業は地味だが、積み重ねることでようやく評価されるようになった」と話す。

 研究のレベルは高校生の枠を超えている。日本土壌肥料学会(9月3~5日、静岡市)のポスター発表に2年の鈴木千夏さん(17)が参加し、18チーム中、最優秀に次ぐ優秀ポスター賞に輝いた。行政や民間機関の専門家、大学の研究者から質問を受け、研究に関するアドバイスももらった。

■品種ごとに実証

 現在はエンドファイトの実験の真っ最中。実験室では、ソバの品種「でわかおり」「最上早生」などをポットで育て、培養した菌液と品種ごとの相性を調べている。実験と同時進行で畑ではソバも栽培。じょうろで菌液をかけ、与える種類、量でどのように収量が変わるかを調査している。

 最終的な目標はエンドファイトの実用化だ。広瀬教諭は「求められる実験の精度、質は高くなっており、さらに上のレベルを目指している」と話す。2年の岩月叶さん(16)は「実験ではいろいろな条件を変えたり、効率化を図ったりしてみたい。成果が出るまでは努力は惜しまない」と力強く語った。
(山形新聞村山支社・鈴木大和)

「高校生のシゴト力 明日を創る」に関するご意見、ご感想をお寄せください。住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、〒980-8660 河北新報メディアセンター「高校生のシゴト力」係へ。ファクスの場合は022(211)1482、電子メールはmc@po.kahoku.co.jp