地元企業と菓子や総菜開発 売れ筋探り知恵を絞る

 秋田市の秋田商業高(石井潔校長、生徒710人)は、地元企業と共に菓子や総菜などの商品を開発、販売するビジネス実践活動「AKISHOP(アキショップ)」を行っている。「総合的な学習の時間」を使い、2002年度に始めた独自のキャリア教育。生徒は売れる商品作りに知恵を絞り、毎年秋のイベントで販売する。学んだ知識を実践に生かし、地域社会を担う自覚を育む狙いだ。

■企画書携え営業

 今年は2、3年生443人が春から商品作りに取り組んだ。まずはアイデアをまとめ、企画書を携えて地元企業に営業をかける。協力を得られたら、企業と試作を重ねる。実社会さながらに企業訪問、商品案のプレゼンテーション、交渉を経て、アイデアを形にしていく。

 「菓子の絵の色は濃いめがいいね」「デザインはこれでオーケー」。9月下旬、秋田商業高の各教室では、10月の販売イベントを前に生徒が商品の最終確認をしていた。秋田犬の顔をプリントしたサブレを完成させた生徒たちは、思い描いた通りの仕上がりに満足そうな表情を見せた。

 活動を統括する櫻庭咲子教諭(42)によると、生徒はそれぞれ市場調査をした上で商品を考案するが、コストや市場性などを基に企業と絞り込むため全てが採用されるわけではない。こうして「企業と接しながら、ビジネスの重要な視点を学んでいく」という。同校は県内唯一の商業科単独の専門高校。マーケティングや会計などを学んでおり、AKISHOPはそうした学習の成果を実践する場として位置付けられている。

 今年は、ご飯を団子状にしただまこ餅の入った「だまこチーズカレー」、タピオカ入りのプリン「タピリン」、串に刺した「ぐさっとブラウニー」など多彩な41点がそろった。人気商品は依頼を受けて首都圏のイベントなどで販売することもあるだけに、どれも力が入っていた。

■売れ行きに満足

 本番の10月19日、会場のJR秋田駅前や秋田市民市場は多くの人でにぎわった。お菓子や弁当を購入した同市の40代女性は「昨年買っておいしかったので、楽しみにしていた。個性的な商品ばかりで見ていて楽しいし、一生懸命さが伝わってくる」と話した。

 3年の加藤舜基さん(17)は三つのカレーパンの一つに激辛カレーが入った「ロシアンルーレットカレーパン」を販売。「香辛料が一つだけ入っているお菓子をヒントにした。企業の方に『子どもやお年寄りも楽しめるように』とアドバイスを受けて辛さを調整した。他にも数種類作ったが、価格設定が難しかった」と振り返った。

 「豚バラミルフィーユ弁当」を販売した3年の佐藤七海さん(18)は、売れ行きの良さに満面の笑み。総菜店と相談し、ご飯の上に甘じょっぱいたれで焼いた豚バラ肉を敷き詰め、2層に重ねた。評価を肌で感じられたことが何よりもうれしかった。

 生徒はAKISHOPを通じてさまざまなことを学んだようだ。佐藤さんは「企業とのやりとりは緊張したし、大人に自分の思いを伝えるのは苦労したけど、さまざまな方と関わりながら物を作っていくのは素晴らしい体験だった。就職してからも生かせたらいいな」と前を向いた。
(秋田魁新報社政治経済部・高橋さつき)