4000人近い観衆でスタンドは黄色に染まった。引退する志村にとって、ゼビオアリーナ仙台で最後の試合。「ここは満員が似合う」。勝利で締めることはできなかったが、ルーズボールへの飛び込みやスチールからの得点など、随所にらしさを発揮した。
 ゼビオアリーナには特別な思いがある。2011年3月の東日本大震災発生直後、球団は青葉区のオフィスが立ち入り禁止となり、アリーナ建設前の場所にあったプレハブを仮事務所としていた。
 当時チームは活動を休止。選手は救援物資の運搬などボランティア活動に明け暮れていた。先の見えない日々。12年春に予定されていたアリーナの完成だけが希望だった。
 アリーナは半年遅れで完成。日本屈指の会場で最もプレーしたのが志村だ。「いろいろな思い出がある。アリーナの創成期を共に歩めたことはうれしい」
 試合後の引退セレモニー。男泣きのイメージが強いが、終始笑顔で感謝の言葉を並べた。
 「泣けなかった」。小さな巨人は晴れやかな表情だった。満員のアリーナに何かを見いだし、仙台を強くしたいという気持ちがさらに高まったからだろう。(射浜大輔)