仙台89ERSは2018-19年シーズンをB2リーグ東地区2位で終えた。
 今季は7月に経営陣が変わり、長年チームをけん引してきた志村雄彦氏が現役を引退し、GMに就任。元選手の視点や人脈から、チームスタッフや選手の獲得に取り組んだ。
 最初に桶谷大氏を監督に招聘(しょうへい)した。bjリーグで琉球を率いて2度のリーグ優勝を成し遂げている。桶谷氏の「戦友」とも言えるベテランの月野と安部、U-22(22歳以下)日本代表候補だった若手有望株の沢辺らの獲得にも成功。「今年はB1に昇格できるのではないか」というブースターの期待につながるスタートだった。
 開幕から19勝9敗で18年内の戦いを終えた。熊本や島根、広島といった上位チームに敗れたことに加え、下位の福島や八王子に取りこぼす姿も見られた。
 今思うと、この時期に負けの要因を追究し、勝った中での反省点を絞り出し、チームを成長させる作業がもっと必要だったのではないか。ここ2年成績が低迷した中で、大きく勝ち越しているとの慢心が出てしまったのではないだろうか。
 年明けからは周囲のチームが成長を遂げる中、仙台は負けが目に付くことが多くなり、下位の青森や奈良にも連敗してしまう。やるべきことが明確でも徹底できない弱さ、スタッフや選手が大きく変わった新チームの弱さが出てしまった。
 これ以降、外部からメンタルトレーナーを招き、内面からの改革を図った。選手の主体性を引き出し、選手が自分の意見を相手に伝える意識を養った。ミーティングでは課題を出し合い、解決の具体的な行動まで話をさせた。
 この時期から、試合中に選手がハドルを組んで話し合う姿が多くなった。目まぐるしく状況が変わる競技の特性上、コミュニケーションは非常に重要だ。
 3月9日の福島戦から11連勝という記録をつくった。残念ながら中盤の連敗が響き、B1昇格への道は絶たれた。ブースターはさぞがっかりしたと思う。
 しかし、新体制でスタートしたチーム・クラブとしては、大きな収穫を得たシーズンになったのは間違いない。B2降格から来季で3年目。「来季こそは」という言葉はもう聞きたくない。「B1昇格」の有言実行へ。来季はさらに進化した89ERSの姿が見られることを期待している。

加藤真(かとう・まこと)元プロバスケットボール選手。東北学院大から2005年、日本リーグ2部の日立電線に入り、フォワードとして活躍。同年の得点王、新人王、ベスト5に輝く。JBL北海道、bj富山、bj秋田でプレーし、13年に現役引退。17年から仙台のU-15(15歳以下)ヘッドコーチ(HC)を務める。大崎市出身。37歳。