「『はい』は簡単な言葉だから、駄目」。東北楽天の佐藤投手コーチは、ブルペンで助言を受けた投手が「はい」だけで返答するのを良しとしない。「本当に分かっているのかと思っちゃう。『やってみます』くらいは言ってよ」。指導経験豊富な佐藤コーチらしい物言いだが、こちらが怒られている気がした。
 支局勤務の若手時代、原稿を別物のように直してくれた支局長に「ありがとうございます」とほぼ毎日言っていた。それ以上の言葉が出なかった。支局長はその度にため息。十数年たって今は後輩の原稿を見る立場。手間を掛けて直した後、気のない返事をされると、確かに拍子抜けする。
 「はい」禁止は、受け身で取り組んでほしくないという佐藤コーチならではの関わり方なのだろう。田中(米大リーグヤンキース)ら飛躍した投手は「ほぼ何も教えなくても伸びていった」と言うが、そんな人は一握りだ。佐藤コーチ、繰り返しの指導が伝わらなかったらどうするんですか?
 「そうなれば、『分かっていないだろう?』と怒るしかない」。さすがに厳しいプロの世界。(金野正之)