「ダンプさん」の愛称で親しまれた野球解説者の佐々木信行さん(65)が今季でプロ野球解説者を辞め、半世紀近く身を置いたプロ野球界に別れを告げた。1970年代のロッテと2005年からの東北楽天。宮城を拠点にした2球団の歴史を全て知る生き証人だった。
 どちらも不思議な縁に導かれた。71年秋に宮城・佐沼高から社会人チームに入るはずが、ロッテから想定外のドラフト指名を受けた。2年目から宮城球場(現楽天生命パーク宮城)の土を踏み、引退後も03年まで2軍監督などを務め、04年秋に仙台市内に居酒屋を開いた。すると、球界再編騒動の渦中にいた堀江貴文ライブドア社長(当時)が不意に来店し、新球団構想を語った。瞬く間に東北楽天が誕生。解説者として球界に引き戻された。
 東北楽天のテレビ・ラジオ中継では負けが込んでも温かく鼓舞した。「いいところを褒めたかった。若手育成のコーチが長かったからかな」。若手アナウンサーの実況デビューでは相手役を快く引き受け、もり立てた。
 懐の深さは捕手時代から。宮城球場のベンチ脇のブルペンで村田兆治投手のボールをよく受けた。「サインなしで突然フォークボールを投げられ、四苦八苦したよ。ただでさえ、ナイター照明と重なって見づらいのにね」
 最後の解説を務めた10月、宮城球場時代からの戦友とも言える照明灯を懐かしそうに見つめた。(金野正之)