中日の与田剛監督が船出した。昨季まで3年間投手コーチを務めた東北楽天を退団する際、「全てがいい経験だった。東北を離れるのは本当にさみしく、ユニホームを替えるのは苦渋の決断だった」と明かした。

 選手時代を過ごした古巣に23年ぶりの「栄転」だったが、指導者人生を踏み出した東北楽天には愛着と心残りがあった。「うまく教えられた選手、そうでない選手がいた」

 昨季、安楽、森ら若手が相次いでフォーム修正などを申し出てきた。「ずいぶん前にそう直した方がいいって話したよな」。2軍担当だった与田コーチは既に共通理解だったと思い、驚いて聞いた。

 すると、安楽も森も同じように「教わりました」。ただ続けて「でもその時は意図が分からなかったんです」。与田コーチは選手の目線での伝え方でなかったと気づき、「理解させて初めて指導と言える」ことを身をもって学んだ。

 今季の交流戦、与田監督は名古屋で東北楽天を迎え撃つ。「『名古屋に来た時はひどいヤジで痛めつけてやるぞ』とみんなには言ったが、たくましくなったと思いたいのが本心だね」。教えた側と教わった側、どちらがより成長した姿を見せられるかを勝負する機会でもある。
(金野正之)