冷静かつ大胆に。膠着(こうちゃく)した試合を動かしたのは八戸学院光星の主戦後藤の判断だった。
 勝ち越しの七回は先頭打者として四球で出塁。犠打で二進すると、1死後に武岡の2球目でスタートを切った。
 武岡は3番打者。しかも、この試合は初回に先制の2点本塁打を放っている。常識的にはバッターに任せる場面だが、「投手のテンポと三塁手の位置を見て仕掛けた」と後藤。これが捕手の悪送球を誘って勝ち越し点に結び付いた。
 もちろんノーサイン。「あの三盗は何や」。仲井監督は笑いながらおかんむりだったが、「勝ちたいという執念だったんだろう」。攻めの姿勢を褒めた。
 3番手として登板したマウンドでも好判断が光った。勝ち越し直後の七回の守りは、1点を返されてなおも1死満塁のピンチ。打席には8番島上。初球のスクイズを外して投飛併殺打にした。
 「バントと気付いて反射的にスライダーを浮かせた」。プロ顔負けのマウンドさばきで、栄冠をぐっと引き寄せた。(今愛理香)