「公立の強豪」という看板も色あせてきた感がある。利府はここ2年、夏の宮城大会はいずれも3回戦止まり。甲子園出場は2度、2009年春の選抜大会は準決勝まで進出した実績も過去のものとなりつつあった。

 この春、古川工を率いて甲子園出場経験もある間橋康生氏が監督に就任。令和最初の夏に再起を期す。

 4月最初のミーティング。間橋監督は選手たちをじっと見つめ、語り掛けた。

 「お前らの目、腐ってないな」

 ナインは長く厳しい冬を過ごしてきた。新チームになって昨秋の県大会も1回戦敗退。「みんな表には出さないけど、このままで大丈夫かなという気持ちだった」と小野寺主将。不安を感じている選手たちに「お前たちとなら甲子園に行ける気がするよ」。間橋監督はそう鼓舞した。

 間橋監督就任時点で宮城大会まではわずか3カ月。「夏は打てなければ勝てない」と間橋監督は考えた。練習時間の約8割を打撃練習に費やした。シート打撃など実戦を想定した練習を重ねた結果、選手たちは「強く思い切った打撃ができてきた」(小野寺主将)と成長を実感する。

 「うまくやろうとするな」「送球は低い方が速いぞ」。練習中、間橋監督は終始グラウンドを動き回り、約80人の部員全員に声を掛ける。

 「以前は失敗しちゃいけない雰囲気があったが、間橋監督が来てからは、ミスしても前向きに声を掛け合うようになった」と小野寺主将は言う。選手一人一人の野球に対する意識は確実に変わってきた。間橋監督は「まだ表に出ていない秘めた力が出てくるはず」。伸びしろに期待を懸ける。