大船渡・佐々木朗希投手以外にも岩手が生んだ高校球児が大きな注目を集めている。一関市千厩町出身の菅原謙伸捕手(埼玉・花咲徳栄)だ。全国高校野球選手権2回戦明石商戦で見せたフェアプレーが米国主要紙で紹介され、動画投稿サイトでも500万回近く閲覧される時の人になった。

 1点を追う七回1死走者なし、右打席の菅原の左肩に変化球が直撃した。「よし同点の走者だ」と応援団が思った場面、菅原は予想外の行動に出た。「死球ではありません。当たりに行ったようなよけ方をした自分が悪いんです」。迷いなく球審に正直に告げた。続けて捕手、投手、相手ベンチにまで一礼した。

 正直者はばかを見ない。仕切り直しの初球を菅原は同点弾にした。しかも自身の高校初本塁打。「次は打てる」と確信し、大声援さえも「全く聞こえない」という無の境地で、何かに導かれるようにバットを振った。

 ともに花巻東高出の菊池(マリナーズ)大谷(エンゼルス)ら岩手から次々と有力選手が誕生している。共通するのは県民性の「ひた向きさ」だろう。自ら強豪校の門をたたき、高校生屈指の強肩捕手になった菅原もかなりの努力家だ。明大で広沢克実さん(元ヤクルトなど)らとプレーした父良一郎さん(57)の背中を追い、次は東京六大学の舞台を目指している。(金野正之)