J1仙台の中盤の底を長年支えてきたMF富田が定位置の再奪取に燃えている。昨季はリーグ戦30試合に出場したが、終盤には若手の台頭で出場機会が減少。「選手である以上、試合に出続けたい」。巻き返しへの思いを胸に、キャンプで表情を変えず黙々とボールを追う日々だ。
 2日にあったJ1大分との練習試合。武器である相手の懐に潜り込むようなボール奪取能力は衰えていなかった。的確な指示で味方を動かし、消極的な若手には「もっと前に出ろ」と声を張り上げた。
 それでも、本人の表情は険しい。「(味方FWの)動きを見逃していた。ボールを奪いにいけるチャンスはもっとあった」。チームのかじ取り役を担ってきたからこそ、真っ先に反省点を挙げる。
 J1通算の出場試合数は274。主にダブルボランチの一角として角田(J2長崎)、三田(J1神戸)、奥埜(J1C大阪)らタイプの異なる選手と組み、安定したプレーを続けてきた。「攻守に大事なポジションであり、ただ出るだけでなく、チームを勝たせることが必要だ」。責任の重さは誰よりも分かっている。
 ピッチを離れて感じたのは、試合に出られない悔しさだけではない。「『もっと違うことができる』と、外から見ればいくらでも感じられた。外から見たのと同じ風景をピッチでも見て、それをプレーにつなげられれば一番いい」と思い描く。
 椎橋、梁勇基の両MFに加え、経験豊富なMF兵藤が新加入し、定位置争いは激しさを増した。「チームにリズムをもたらし、スイッチを入れられる存在でありたい」。仙台一筋15年目の背番号17が意地を見せる時が来た。(剣持雄治)