判断能力が不十分な高齢者らの財産管理などを代行する成年後見制度で、秋田県の申立件数が3年連続で全国最少となっている。要因として、後見人不足や手続きの複雑さに加え、家族や周囲が高齢者の面倒を見る地域性を挙げる関係者もいる。

 最高裁によると、記録が残る2014年以降、16年までの秋田家裁への申立件数と利用者数は表の通り。16年は過去最高だったが、福井213件、松江200件、甲府195件などを下回った。
 秋田家裁によると、16年の後見人は、配偶者や親族が51人で12年の89人から38人減った。一方、弁護士や司法書士ら第三者は12年の55人から50人増の105人で、全体の約6割を占める。身寄りのない高齢者が増え、司法関係者が1人で複数人を受け持つ場合もあり、人材不足が深刻化している。
 家裁への申し立ては、本人と後見人候補の戸籍や財産目録などが必要で、選任期間を含めて数カ月かかるなど、手続きが煩雑で敬遠されているとみられる。
 制度上の課題に加え、秋田特有の要因として、強固な地域社会の支え合いを指摘する声もある。
 国勢調査によると、15年の県内の3世代世帯数は5万1831で総世帯数の13.4%を占め、全国平均(5.7%)を上回る。県社会福祉協議会の担当者は「家族や親族の間で生活の面倒を見る地域性がいまだに根強い」と分析する。
 65歳以上の単身高齢者世帯数は昨年7月現在、前年同期比2229増の6万5069と増加傾向にあるが、県司法書士会の担当者は「企業による見守りサービスの充実など高齢者を支えるまちづくりが進む影響で、制度の需要がまだないのかもしれない」とみる。
 成年後見制度は単身高齢者や認知症患者の増加で将来的なニーズの高まりが予想される。制度の普及が急務な中、鹿角市のように福祉と司法の分野が連携して当たる自治体もある。
 同市社協は14年から、日本司法支援センター(法テラス)の協力を得て独自の取り組みを展開中。弁護士や病院関係者、大学教授らを交えたケース会議で制度の理解促進や円滑な運用を図っている。現在は認知症などの高齢者4人を法人として後見している。
 同市社協の担当者は「地域では判断能力の低下が見られる高齢者も多く、将来を見据えた受け皿づくりが必要だ」と強調する。
 県内では湯沢、能代両市と三種町の各社協が計16人の後見を受任。申し立て手続きの支援や啓発セミナーの開催、市民後見人の育成などにも取り組む。
 県社協地域・施設振興部の鈴木博副部長は「各地域に同様の動きを広げ、安心した老後生活を支える基盤を拡充させたい」と話す。

[成年後見制度]認知症や知的障害などで判断能力が不十分な成人に代わり、家裁に選任された親族や弁護士らが財産管理などを担う。判断能力に応じて後見、保佐、補助の3段階に分類される「法定後見」と、健常な段階で事前に後見人と契約を結ぶ「任意後見」がある。本人や配偶者、4親等内の親族、市町村長のいずれかが家裁に申し立て、個人や法人が後見人に選任される。