東京電力福島第1原発事故で預けられたスタインウェイ社製の高級グランドピアノが、福島県富岡町に返還されることになった。ピアノは今後、元々あった町文化交流センター「学びの森」に戻り、復興を目指す地域と住民の背中を押す伴奏曲を奏でる。

 預かっていた郡山市の星総合病院に隣接するホールで10日、セレモニーがあった。ピアノの伴奏で、両市町の小学生らが合唱を披露するなどした。
 宮本皓一町長は「ピアノは富岡と(富岡からの避難者が多い)郡山の人たちのつながりに役立った」などと感謝。病院の星北斗理事長は「音楽が築いた郡山と富岡の絆がより強まるといい」と期待した。
 ピアノはコンサート用の最も大きなタイプで二千数百万円相当。東電が2004年に町へ寄贈し、学びの森で演奏会などに使われた。
 全町避難で管理が難しくなり、仙台市の業者の倉庫に移された。病院が13年のホール完成に合わせて町から無償で借りて活用。郡山市内の仮設住宅に避難していた町民を招いた演奏会でも使われた。
 ピアノは20日、学びの森に移される。セレモニーを見守った郡山市の主婦横井寿子さん(77)は「とてもいい音色でよく聴きに来ていた。寂しさもあるが、今度は富岡で聴きたい」と話した。