福島県の相馬沖で漁獲されたヒラメなどの鮮魚をタイに輸出し、首都バンコクの日本料理店で提供するフェアが中止になったことが12日、分かった。現地の消費者団体が「放射性物質に汚染されている恐れがある」と店舗名公表などを要求し、風評被害を懸念した店側が開催自粛を決めた。
 2月末に始まった同国へのヒラメ輸出は、東京電力福島第1原発事故後、福島産の鮮魚を海外展開させる初の試みだった。フェア中止に伴い、計画していた継続的な出荷も休止となる。
 フェアは今月10~31日、11店舗が参加し、ヒラメなどを使った料理を提供する予定だった。2日に始まったプレイベントに向け、相馬市の相馬原釜漁港から2月末、第1便のヒラメ100キロとカレイ10キロが出荷されていた。
 県によると、消費者団体が6日、タイの保健省に参加店の公表などを要求。会員制交流サイト(SNS)で「福島の魚を食べるのは危険」といった中傷や根拠のない指摘が拡散した。風評被害の広がりを心配し、フェアを企画した商社と店側が中止を決めたという。
 内堀雅雄知事は取材に「関係者が思いを一つにしてやっと輸出にこぎ着けたのに、このような事態になり本当に残念だ。(輸出再開に向け)今後の対応を丁寧に進める」と話した。
 原発事故で一時落ち込んだ県産品の輸出回復に向け、県などは風評被害の少ない東南アジアでの市場開拓を進めている。タイには昨年、国内産地で最多となる約30トンの桃が出荷された。