2020年の東京五輪に向け、自治体間の事前合宿の誘致レースが始まっている。東北の自治体は復興事業などで後れを取るが、早大スポーツ科学学術院の間野義之教授(スポーツ政策)は「慌てずに戦略を練るべきだ」と助言する。国際交渉経験の少ない自治体が参画できるよう、大会組織委や国が支援する必要性を指摘する。(聞き手は報道部・門田一徳)

 -事前合宿誘致で被災地の自治体が出遅れている。
 「焦る必要はない。東京五輪は近隣アジア諸国で事前合宿する可能性が低く、需要圧力の方が高い。新幹線一本で東京に出られる東北は、九州や四国などより利便性は高い」

 -いつごろまでに誘致の準備を整えるべきか。
 「希望国があれば早めに声を掛け、情報提供してほしい。遅くとも開催1年前には交渉できる態勢にすべきだ。自治体ウェブサイトの英訳より、地域に移り住んだ希望国出身者に相談するほうが良い。自治体が考える地域の良さと外国人にとっての良さは全然違う」

 -被災地には国際交渉の経験に乏しい自治体が少なくない。
 「組織委の担当が自治体にご用聞きに行く。できないなら相談会を開くなど対応が必要だ。経済産業省は被災自治体が情報交換できる連絡協議会を設置してはどうか」

 -事前合宿に期待される経済効果は。
 「ロンドン五輪の1チーム当たりの経済効果は700万円程度と大きくなく、キャンプだけでは一過的だ。閉幕後、外国人観光客をどう増やしていくかを試す機会と捉えるべきだ」

 -誘致ではどのような戦略が考えられるか。
 「19年ラグビーワールドカップ会場になる釜石市の活用を考えてほしい。観戦に来る外国人は東北の最高の情報発信者になる。球技の誘致は対戦相手があるといい。JリーグやBリーグ、東北楽天とタイアップできれば強調材料になる」

 -河北新報社の被災地首長アンケートでは、東京五輪の復興への効果に半数が懐疑的だった。
 「案内板の多言語表記や老朽化したスポーツ施設の改修など、将来やらねばならないことを前倒しする機会にしてはどうか。復興の過程から見れば20年は通過点でしかないだろうから、復興のエネルギーをもらうイベントと考えてほしい」