「復興五輪」を掲げる2020年東京五輪の事前合宿誘致に、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の自治体が苦戦している。3県で相手国と合意に至ったのは7自治体にとどまり、宮城では昨年秋以降、2市が誘致争いに敗れた。国際交渉の経験に乏しい市町村は、誘致実現で復興五輪を盛り上げようと試行錯誤を続ける。

 誘致争いで苦杯をなめたのは、カナダのボート協会と交渉してきた登米市と、ホッケー競技のオーストラリア代表を狙った栗原市。
 カナダのボート代表は今年1月、神奈川県相模湖漕艇(そうてい)場を選んだ。登米市は15年に同国のボート協会と交渉を始めたが、誘致した相模原市には同年、協会の上部組織となる五輪委員会が視察入り。登米市側は相模原市を「ダークホース」と考えていたが、既に優位な状況に立たれていた。
 16年秋、宮城県長沼ボート場が東京五輪のボート、カヌー・スプリント会場候補に浮上し頓挫した騒動以降、五輪への登米市民の受け止めは冷ややかだ。市教委生涯学習課の千葉桂志さん(42)は「強豪国を誘致して被災地を元気づけたい」と気持ちを切り替える。
 オーストラリアのホッケー代表に絞り、14年ごろから交渉してきた栗原市は昨年10月、同国ホッケー協会から「練習相手がいない」と断りの連絡を受けた。
 栗原市は、芝や照明など施設の優位性を強調していた。佐藤忠実教育部長は「練習相手の質問はされたと思うが印象に残っていない」と振り返る。
 国際交渉の経験に乏しい自治体は交渉相手探しもニーズの把握も手探りだ。「分からないことの相談先も分からない」(宮城県北の自治体)との声も漏れる。
 大会組織委は自治体から集めた情報を基に、事前合宿の候補地リストをウェブサイトで紹介する。交渉に関しては「相談、仲介はやらない」(広報担当)と線引きする。
 全国の事前合宿の合意は昨年10月の段階で約90自治体。被災3県は現時点でも7市町にとどまる。
 誘致の前提とされるホストタウン登録は全国で288自治体あるが、そのうち被災3県は11市町のみ。政府が昨年秋に導入した「復興『ありがとう』ホストタウン」は、事前合宿を前提としていない。