岩手県陸前高田市で創業122年を数える老舗「菅久(かんきゅう)菓子店」が、東日本大震災からの再起を期して、かさ上げした中心市街地の新店舗で営業を始めた。5代目店主の菅野秀一郎さん(42)は「初代のつもりで、震災で離れざるを得なかった人がまた帰りたいと思えるような街にしたい」と決意を語った。

 再建店舗は、昨秋開業の共同店舗「まちなかテラス」に加わった。商品棚には人気商品のリーフパイが復活して並んだ。
 以前は和洋菓子を製造、販売してきたが、震災後は洋菓子専門に仮設店舗で再出発。長男久秀さん(20)も仙台市の洋菓子店で修業している。
 新たな一歩を踏み出したのは「4月23日」。震災で犠牲になった弟浩平さん=当時(33)=の誕生日だ。仮設店舗での営業再開も新店舗の地鎮祭も、節目はいつも「4月23日」。弟や亡くなった人たちを忘れないとの思いを貫く。
 「震災前の街を知る自分たちは、若い世代へのつなぎ役。新しい感覚も持ち、いい商品を作りたい」と菅野さん。まずはこれからの季節、隣の公園で遊ぶ家族連れなどに喜んでもらおうと、土日限定でジェラートの提供を始めた。