岩手県陸前高田市立図書館に今春、東日本大震災で夫を亡くした小田文香さん(45)が臨時職員として採用された。夫信弘さん=当時(41)=が生前勤めていた図書館で働く夢を、ついにかなえた。
 こどもの日の5日、図書館主催のおはなし会で、子どもたちに紙人形劇を披露する小田さんの姿があった。
 普段は本にラベルやフィルムカバーを貼ったり、書棚を整理したりする。図書館司書の資格を取得してまで「働きたい」と願った職場だ。
 信弘さんは移動図書館の運転手だった。震災後は本が心の支えとなった。幼くして父親を失った2人の息子に、自分が代わりに図書館で働く姿を見せてあげたいという思いもあった。
 津波で住まいを失った小田さん一家は、長く岩手県住田町の実家に身を寄せていた。次男(15)の高田高入学に合わせ、購入した自宅に移った。
 かさ上げした中心市街地に昨年再建された市立図書館には、友達とおしゃべりする中高生や新聞を毎日読みに来るお年寄りがいる。
 何げない日常に喜びをかみしめながら小田さんは「こうして陸前高田が復興していく。前の生活は取り戻せないが、楽しい生活ができるよう手助けをしたい」と語る。