潜水士の業界団体が「南部もぐり」の伝統を受け継ぐ種市高(岩手県洋野町)の支援に乗り出した。東日本大震災の沿岸復旧工事にも従事する潜水士だが、全国唯一のダイバー養成学科は長く定員割れの状態が続く。「このままでは日本の海洋整備を担う人材が枯渇する」と産学官が手を組んだ。
 約65年の歴史を持つ種市高海洋開発科。生徒たちは、南部もぐり固有のヘルメット式潜水や土木技術を学び、卒業までに9割が潜水士の資格を取得する。
 入学定員は40人だが、少子化や地元の過疎化で定員割れが続き、本年度の新入生は26人にとどまった。
 町は今春、遠方からも入学生を受け入れようと生徒寮を整備した。工事費は約5300万円。維持管理費も含め経費全額を工面したのは、切実な潜水士不足に直面する日本潜水協会(東京)や海洋土木系の民間企業・団体だった。
 協会によると、港湾整備や防波堤建設に従事する潜水士は2017年で推計3300人。4~5人に1人が種市高出身だ。
 海洋開発科の定員割れと足並みをそろえるように潜水士は減少しており、20年後には2600人になるとみられる。
 協会は「震災では潜水士不足が復旧工事遅れの一因になった。このままでは次の海洋災害に対応できない」と懸念。沿岸インフラ施設の維持管理にも将来、影響が出るという。
 潜水士は体力と意思疎通能力が求められる職種で高齢者や外国人は難しく、種市高支援が若手育成の早道となる。
 このため協会や国土交通省、県、町は昨年、種市高支援の連携協定を締結した。県は本年度、海中潜水用実習船を新造。協会や国交省は、中学生へのPRや在校生の就業体験を後押しする。
 種市高の実習担当教員浜道秀人さん(55)は「島国日本は海洋を開発しないと生き残れない。支援に応えられるよう、全国から生徒を募って優秀な潜水士を育てたい」と話す。