東日本大震災の津波で壊滅した大船渡、陸前高田両市の中心市街地に、それぞれ商業施設が開業して4月末で1年が経過した。この間、再建店舗の半数以上が震災前より売り上げを増やしたことが、河北新報社が実施したアンケートで分かった。

 アンケートは、大船渡市の「キャッセン」と陸前高田市の「アバッセたかた」で実施。テナント42店(大船渡26店、陸前高田16店)から回答を得た。このうち再建店舗は24店(大船渡14店、陸前高田10店)。
 震災前と比較した売り上げ(円グラフ)は「増えた」の13店(54.2%)に対し、「減った」は6店(25.0%)、「変わらない」は3店(12.5%)だった。
 売り上げ増の理由は「週末に県外からも大勢来店する」(陸前高田の菓子店)「店舗集積や駐車場整備で利用しやすくなった」(大船渡の婦人服店)など。
 商業施設への入居前と同じ業態の店舗31店のうち21店(67.7%)が客層の変化を指摘し「市外や若者の来店が増えた」と回答した。復興支援や視察で訪れた人が再建店舗の経営を下支えしているとみられる。
 開業1年の売り上げ増減は同じ傾向を示した大船渡と陸前高田だが、今後の売り上げ予測(棒グラフ)では違いが浮き彫りになった。
 大船渡は「増加する」(9店)「変わらない」(9店)「減少する」(8店)が拮抗(きっこう)したのに対し、陸前高田は「増加する」(11店)が最多で「変わらない」(5店)の倍以上となった。「減少する」と予測した店舗はなかった。
 陸前高田では商業施設周辺に公共施設や個人店舗の立地が予定され、買い物客の回遊性が今後も高まることへの期待がうかがえる。ただ「周りの空き地が本当に解消されるのか」と不安を口にする商店主もいた。
 今後の経営課題は「集客力」(28店)が最多。「商品開発力」「人手不足」「テナント料の負担」「後継者不足」を挙げたのはそれぞれ2~4店にとどまった。
 「仮設店舗より経費がかかり、売り上げを増やさないと利益が下がる」と気をもむ店舗も少なくない。
 大船渡、陸前高田とも平日の集客が課題だ。大船渡では運営会社がこの1年に100回以上のイベントを開催したが、入居する店舗からは「市民に知られていない」「訪れた人を店内に呼び込めていない」といった声が上がっている。