全国で地方銀行再編が続く中、第二地銀の福島銀行が生き残りへ正念場を迎えている。2018年3月期連結決算で純損益が7期ぶりの赤字に転落。地元ライバルの東邦銀行の元専務を社長に招く異例のトップ交代を決断した。経営統合の可能性を否定する福島銀の行方を、取引先の中小企業をはじめ地元経済界は注視する。

<新たな非常事態>
 「大幅な赤字決算を深くおわびする」。福島市の本店で11日あった決算発表の記者会見で、福島銀の森川英治社長(62)は険しい表情で陳謝した。そのまま自らの辞任を公表し、再建を託す加藤容啓(たかひろ)とうほう証券社長(61)を紹介した。
 連結決算は2月に下方修正した業績予想から、さらに悪化。経常損益は13億円余、純損益は30億円余のいずれも赤字に陥った。
 福島銀は2001年、不良債権処理などで自己資本比率が国内基準(4%)を下回る1.71%に低下。金融庁から早期是正措置を発動された。東京電力福島第1原発事故直後の11年3月期連結決算では、49億円の純損失を計上している。
 一連の非常事態に続く新たな危機。森川社長は「日銀のマイナス金利政策が影響した」と強調する。

<すぼむ復興需要>
 貸出金利の利ざやが縮小し、業務収益を圧迫。投資信託の含み損処理や固定資産の減損処理などを前倒ししたことも重なり、赤字幅が広がった。
 「金余りの状況だ」。森川社長は、福島県特有の事情も苦境につながったと説明する。
 原発事故に伴う東電からの賠償金などで、県内は資金に比較的余裕がある企業が少なくない。一方で復興事業が一段落し、融資需要はすぼんでいるという。
 帝国データバンクの県内企業のメインバンク(主力取引銀行)調査では、福島銀のシェアは8%。1位の東邦銀の40%に水をあけられ、県外の常陽銀行(水戸市)からも4%と攻め込まれている。
 大東銀行(郡山市)を含めた地元3行が他地銀、メガバンクなどとしのぎを削る福島県内。金融庁の有識者会議は4月にまとめた報告書で「1行単独なら存続可能」と分類した。

<再編強制を批判>
 「将来的な合併や経営統合の布石か」。東邦銀出身者を招くトップ交代を、将来の再編と重ね合わせる経済界関係者は多い。
 11日の記者会見で森川社長は加藤氏に「個人的にお願いした」と語り、15年設立のとうほう証券を2期目で黒字化させた手腕への期待感を強調。合併や経営統合は「ない」と言下に否定した。加藤氏は「単独での生き残りを懸けてかじ取りをする」と力を込めた。
 主要取引先の中小企業も単独での存続と業績回復に期待を寄せる。
 「福島銀は小さい取引先も見捨てない。細かく対応できる金融機関が地方には必要」。福島県中小企業家同友会(郡山市)の藤田光夫理事長は地銀再編を促す動きに対し「『1県1行でいい』などというのは大都市中心の乱暴な意見だ」と批判を強める。

[福島銀行]1922年に信用無尽株式会社(いわき市)として設立。51年福島相互銀行に改称し、55年に福島市に本店を移転。89年普通銀行に転換し、現在の名称となった。