宮城県加美町の建設業佐藤工務店は、大型ダンプカーにロボットと人工知能(AI)を搭載し、自動で土砂を運搬する技術の開発に乗り出す。土木工事の人手不足を補い、生産性を高めるのが狙い。9月に町内で実験を始める予定で、佐藤敦社長(40)は「比較的小規模な地方の現場に合って、中小企業も導入しやすい技術を追い求めたい」と力を込める。
 東北大未来科学技術共同研究センター、早稲田大との共同事業。ハンドルやアクセルを操縦するロボットとAIを既存の30トン車に載せ、人が運転するバックホーと連携して土砂を積み込んで指定場所まで運び、荷降ろしまでの作業を自動化することを目指す。
 2017年度はダンプの自動走行を試験した。衛星測位システム(GPS)による位置情報を基に、長円状の経路を走らせることに成功した。本年度以降、ぬかるみや凹凸のある悪路でも走れるようにロボットを改良したり、工事の進み具合に合わせて経路を自動的に再検討するAI技術を開発したりする。
 6月、AIの早期実用化を目指す新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業に採択された。22年度まで年間約9000万円の補助を受ける。9月から町内の実験地約3ヘクタールで熟練作業員がどのように土砂を運搬しているかといったデータを集め、AIの学習に役立てる。
 実用化できれば、地方の建設業界が抱える労働力不足を緩和する効果が期待できる。共同事業のチームの試算によると、熟練者をより高度な作業に割り振るなどして生産性を5%向上させた場合、全国で年間2100億円相当の経済効果を生むという。
 大手メーカーやゼネコンは建設機械の自動化に積極的に取り組むが、中小企業では初期投資や維持管理費の負担が大きく、普及が進んでいないのが現状だ。
 佐藤社長は「既存の建設機械を生かして操縦ロボットを後付けする方が安価で機動性にも優れる」と述べ、チームの開発の方向性に自信を見せる。