常に激しい接触があるサッカーという競技にけがは付き物とはいえ、選手にとって戦線離脱はつらいはず。「これから」という時期だったとしたらその悔しさはなおさらです。
 今夏の移籍でJ1仙台の一員となったMF矢島慎也選手。1日のホーム名古屋戦で開始早々に負傷退場しました。サポーターからはスタジアムいっぱいの「矢島コール」。その声を聞きながら担架で運び出された矢島選手はユニホームをめくって顔を覆い、涙を隠していました。もしかしたら、この時すでに、回復にはしばらくかかるケガだと覚悟していたのかもしれません。
 精密検査の結果、診断は「左太もも裏の肉離れ、全治12週間」。前所属のG大阪では出場機会を失っていましたが、移籍加入後は7月22日のアウェー鳥栖戦から3試合連続で先発起用されました。「出られなかったのは自分に足りないところがあったから」。厳しく自らを振り返り、新天地で求められる役割に必死に応えようとしていただけに悔やまれます。
 負傷する前、矢島選手が明るい表情で試合に出られる充実感を語っていたのが忘れられません。「みんなについていくのに必死です! 結果を出せなければすぐ代えられてしまうポジションなので」。やっと輝ける場を見つけた直後に襲った苦難。仲間もサポーターも言葉を失いました。
 渡辺晋監督は「ケガをした慎也自身が一番悔しいと思う。その分の思いも背負って戦うことが大事」と矢島選手の心情をおもんぱかりました。同年代のMF中野嘉大選手やDF永戸勝也選手も昨季はけがに苦しみましたが、現在は主力としてチームを支えています。矢島選手が輝けば、仙台はもっと大きく前進できるはず。必ず訪れる復活の日のために、今は頼もしい仲間たちに思いを託しましょう。(フリーアナウンサー)