高知市中心部のはりまや橋小学校区で2日開催した防災・減災ワークショップ「むすび塾」では、南海トラフ巨大地震に備えるための津波避難がテーマになった。参加者は東日本大震災の被災者らと津波対策の課題を話し合い、商店街や事業所、住民などが連携した取り組みの重要性を確認した。

 高知市商店街振興組合連合会理事長の広末幸彦さん(65)は「小学校区で定期的な防災訓練は実施しているが危機意識、参加率ともに低いのがネック。地理に詳しくない外国人観光客も増えており、連携強化の必要性を感じる」と話した。
 飲食店利用客の模擬避難誘導訓練の主会場となった日本料理店「土佐料理・司(つかさ)」高知地区取締役営業部長の北村宏輔さん(53)は「備蓄や訓練はしているが、客の避難誘導に取り組んだのは初めて。今回のむすび塾を機に従業員と防災対策を話し合う場面が生まれ、さまざまな改善点も見つかった」と打ち明けた。
 むすび塾に先立って市中心部を対象に実施したアンケートも取り上げた。
 「津波到達時間を把握しているか」との質問で「把握している」との回答は36%で「地元の自主防災組織を知っているか」との質問では「知っている」と答えたのは21%にとどまった。参加者からは「周囲の人たちと日頃から話し合う習慣付けが必要だ」「行政頼みでは限界があるので、住民を巻き込んで啓発を図ろう」といった意見が出た。
 石巻市で被災した日本料理店「八幡家」おかみの阿部紀代子さん(57)は「訓練は課題を見つけるいい経験になる。実施するたびに新たな課題が見えるので一度で終わらせずに繰り返してほしい」と訴えた。
 高知大地域協働学部の大槻知史准教授は「震災被災者と被災地に学び、防災知識を高め、イメージして心を揺さぶっていくことが備えとして大切だ。できることからでよいので今日から取り組もう」と助言した。