岩手県産のさまざまな食材を詰め合わせて飲食店に届ける通販事業「シェフズウォント」が、開設から10年を迎えた。盛岡市の飲食店経営「秀吉」が手掛け、登録店舗は首都圏を中心に400店以上。注文の手軽さや生産者の顔が見える安心感が支持され、顧客店舗を増やしている。

 県産食材の販路を開拓しようと2009年、常務の渡辺昌也さん(38)と姉里沙さん(40)を中心にシステムを構築した。
 県内約70の生産者や加工業者から届く野菜や肉類、調味料を小分けにして箱詰めし、宅配便などで送る。
 注文や商品の情報発信には無料通話アプリ「LINE(ライン)」などを活用。「細かい注文ができる」「珍しい野菜が手に入る」と評判で、毎月100~120店舗が利用している。
 特に三陸の海産物は首都圏からの引き合いが多いという。東日本大震災後、里沙さんが陸前高田市でカキ養殖棚の復旧を手伝ったのを契機に、地元漁師と取引を始めた。
 「原発事故の風評で注文が3、4割減った時期もあったが、自分たちにできるのは三陸の産物を売ること」と里沙さん。現在は大船渡市にも拠点を置き、三陸各地でその日に取れた魚介類を配送している。
 各地から料理人を招いての生産地ツアーにも取り組んでおり「飲食店側の要望を知る機会になる」と生産者にも好評だ。
 里沙さんは「岩手には、料理人にも知られていないおいしい食材がたくさんある。通販事業や交流イベントで生産地と飲食店や消費者の循環をつくりたい」と張り切っている。
 連絡先は秀吉019(681)1800。