江戸時代の寛文年間(1661~1673年)に開業したと伝わる山形県鶴岡市の老舗旅館「萬国屋」が、上山市の旅館「古窯」に経営権を譲渡した。設備投資などによる多額の借入金が経営を圧迫。古窯傘下で新たな経営ノウハウの導入が必要と判断した。新たな経営体制は1日にスタート。旅館名や従業員約150人の雇用は維持される。
 1日の株主総会と取締役会を経て、古窯の佐藤太一専務が萬国屋の新社長に就き、他に2人が古窯から役員に入った。新たな萬国屋経営陣は「庄内地方の萬国屋と内陸の古窯がグループとして一体になることで、山形県全体の観光業の発展に寄与できる」と話す。
 萬国屋は古窯が事業を承継した新会社と、債務を引き継いだ旧会社に分割され、新会社の全株式を古窯が取得した。取得額は公表していない。
 旧会社は金融機関などとの協議の上で再生計画が成立しており、今後清算される予定。メインバンクの荘内銀行は既に、山形県中小企業再生支援協議会を通じた再生支援手続きで、貸出金21億7900万円の債権放棄に応じることを決めている。
 萬国屋は鶴岡市のあつみ温泉を代表する有名旅館で客室数約135、収容客数約800と県内有数の規模を誇る。全国屈指の人気を長年保ってきたが、大型設備投資などの借入金が経営を圧迫し、2009年から創業家に代わって大手ホテルの経営経験者、荘内銀幹部を社長に招くなどして経営再建に着手。県内外の複数企業に支援を打診していた。
 古窯は上山温泉に1951年創業し、全国有数の評価を受ける旅館。萬国屋とのグループ化で、予約システムの一体化や事務部門の効率化を進めるという。