山形県鶴岡市のバイオベンチャー「スパイバー」は、植物由来の糖を発酵させて精製する人工タンパク質から、高級毛織物向け新素材となる原毛を世界で初めて開発した。最高級繊維のヤギ毛カシミヤをしのぐ風合いを実現させたといい、アパレル業界で高まる動物保護などのトレンドに対応した。2021年には本格的に商品化したいという。
 同社によると、原毛はカシミヤと同程度の細さで保温性やしなやかさ、肌触りに優れ、より安価に生産できる。石油や動物に依存せず、カシミヤの品質を超える素材を求めるアパレルメーカーからの要請で15年ごろから研究を始め、完成段階にまでこぎ着けた。
 既にカシミヤやウールに代わる高級繊維などとして問い合わせが相次いでおり、供給規模など詳細を詰めている企業もあるという。
 原毛の原料となる人工タンパク質は今年着工し、21年に商業生産を始めるタイ工場で量産化する予定。最終的な紡糸工程は鶴岡市の本社設備で実施する。
 関山和秀代表は「脱動物、脱プラスチックのニーズがアパレル業界などで高まっている中で、新しい選択肢を提示できる」と話す。
 スパイバーは合成クモ糸繊維など人工タンパク質素材を製造し、さまざまな特性を持った繊維や樹脂に加工する研究開発を進めている。