岩手県が6日発表した2019年度一般会計当初予算案は、東日本大震災の復興事業を引き継ぎつつ「幸福の追求」を理念に掲げる新総合計画(19~28年度)の関連事業を多数盛り込み、県政の針路が転換期にあることを印象付けた。
 新規事業の4割に相当する32事業は、北上川流域への産業集積、農林水産業の高度化など新総計の重要構想11項目の具体的施策に位置付けられる。
 達増拓也知事は9月の任期満了を前に、地域資源と先端技術の融合で「復興の先」を切り開くという自らの信念を前面に押し出した格好だ。
 震災関係では、新たに津波伝承館運営費や被災地学習旅行推進費を計上した。被災者支援の規模を維持しつつ、教訓を内外に発信する段階へと歩みを進める。
 2年後の国の復興・創生期間の終了を見据えて歳出方針の見直しにも着手。これまで抑制してきた通常分の公共事業費は、震災後初めて増額に転じた。
 ただ、財政調整3基金は300億円を割り込む見通しだ。平時の財政運営へ円滑な切り替えができるかどうか、達増知事にとっても財政手腕の真価が問われる局面だ。(解説=盛岡総局・斎藤雄一)