旧盛岡藩領の沿岸に伝わる虎舞は、盛岡城で飼われていた虎の動作を振り付けに取り入れた可能性がある-。こんな研究結果を釜石高の3年生4人がまとめた。研究論文は昨年の全国高校生歴史フォーラムで優秀賞を獲得。釜石市で10日に開催される全国虎舞フェスティバルで発表する。
 研究グループは菊池知里さん、鈴木笙子(しょうこ)さん、佐々木滉士(こうし)さん、多田栞(しおり)さん。「虎がいなかった日本に、なぜ虎舞があるのか」という疑問から起源を探った。
 盛岡藩領の虎舞は、虎の動作や生態をリアルに再現しているのが特徴だ。生徒たちは、インドシナ半島(現カンボジア)から徳川家康に献上された虎2頭を初代藩主南部利直が拝領し、盛岡城で飼育していた史実に着目した。
 利直は1615年、その4年前の慶長三陸地震の津波で被災した沿岸を視察している。
 生徒たちは、その際に尾崎神社(釜石市)で復興を祈願したと推定。これを契機に、既にあった尾崎虎舞に一層リアルな振り付けがなされ、各地に広がった可能性があると分析した。
 虎舞に航海の安全や大漁を祈願する意味が込められているのは、復興を願う利直が虎と海を結び付けたからだと推測。藩船に「虎丸」と名付けたことを、その根拠とした。
 研究で明らかになったのは、地域再生のシンボルとして津波被災者を元気づける虎舞本来の役割だ。リーダーの菊池さんは「仮説を基に調べた事実をつなぎ合わせ、一つの結論にたどり着けた」と手応えを語る。
 鈴木さんは「虎舞の役割は東日本大震災でも同様だった。津波に繰り返し襲われた三陸の復興で大きな力になってきたからこそ、大切に伝承されてきたのだろう」と話した。
 全国虎舞フェスティバルは釜石市民ホールで午前10時開演。研究発表に引き続き、市内外の10団体が虎舞を披露する。入場無料。