横手市が1月、JR横手駅東口に市立図書館を新たに整備する方針を打ち出した。東口での民間の土地区画整理事業に参画し、合併特例債の発行期限となる2025年度に間に合わせようと手続きを急ぐ。その一方で、市民の合意形成プロセスは後回しになっている。
 土地区画整理事業が計画されているのは駅東口の約1.7ヘクタール。旧デパートやホテル、農協などのビルが老朽化し駅前の景観としては寂しい面も否めず、再整備が課題となっていた。
 土地や建物の権利を持つ19の団体・個人は、昨年8月に「まちづくり研究会」を結成した。新年度に土地区画整理の準備組合へ移行する方向だ。約70平方メートルの小さな土地を保有する市も権利者として参画する。
 再開発用地の北東750メートルにある現在の横手図書館は建設から34年たち、駐車スペースも4台分と少ない。市によると、23年度までに横手図書館を再開発用地に移転させ、市内各地にある市立図書館6館の中心的な機能を担わせる。
 再開発全体の事業費は約114億円に上り、市は図書館整備費を含めて約34億円を拠出する想定だ。
 市は市議会3月定例会に提出する新年度予算案に新図書館の調査費を盛り込む方針。高橋大市長は1月30日の定例会見で財源を問われると「合併特例債にこだわりたい」と強調した。
 この言葉通り、市長の積極姿勢の背景には25年度に合併特例債が発行期限を迎えることがある。それまでに建設すれば、34億円のうち市の負担は11億円程度に抑えられる計算となる。
 予算の枠組みが先行する半面、市の説明では新図書館の特徴がどうも見えてこない。市は築51年の市民会館に代わる市民ホールの整備も検討したが、再開発用地が狭く断念したという。図書館はいわば消去法で選ばれた形だ。
 村田清和総合政策部長は「図書館の計画は先月公表したばかり。どんな図書館が望ましいか、中高生を含めて市民の意見を聞きたい」と話す。

[合併特例債]「平成の大合併」で誕生した市町村が対象。事業費の95%に充当でき、国が返済額の70%を負担する。発行期限は段階的に延長され、18年の再延長で東日本大震災被災地が25年間、それ以外は20年間となった。05年に8市町村が合併した横手市は25年度まで発行できる。