東京五輪マラソン代表選考会グランドチャンピオンシップ(MGC、9月)の出場権を懸けた東京マラソン(3月3日)に、村山謙太(旭化成、宮城・明成高-駒大出)が出場する。マラソン初挑戦だった3年前、後半に失速してリオデジャネイロ五輪代表を逃した因縁の大会だ。「今回は気負わず、力まず、リラックスして走りたい」と自然体で臨む。
 持ち味であるスピードを生かした攻めの走りは封印する。3日の香川・丸亀国際ハーフマラソンで2キロ過ぎに転倒し、右脚を強打したからだ。患部に痛みは残っており、体の状態を見ながら調整を続ける。それでも本人の表情は明るい。「追い詰めず、疲労を抜いて走れということなのかな」と笑う。
 苦い思い出がある。2016年の東京マラソンは大会前の練習で調子が良く、体に負荷を掛け過ぎた。疲労が抜け切れなかった上、3キロ地点で右足のまめをつぶした影響で、30位に終わった。追い込んで練習した昨年3月のびわ湖毎日も21位と振るわなかった。
 転機は昨年7月だった。9月のベルリンに照準を合わせる練習の一環でゴールドコーストに出場。2時間9分50秒の自己最高記録を出し、3度目のマラソンでサブテン(2時間10分切り)を達成した。「気楽に走ったのが好結果につながった」と振り返る。
 「世界と互角に戦いたい」という理想はもちろん捨てていない。昨年、男子マラソンの日本記録が2度塗り替えられ、改めて速さを追求するレースの大切さを実感した。3年前の大会も日本人で唯一、世界トップレベルのアフリカ勢に序盤から食らい付き、その姿が低迷していた日本男子マラソンの復活に向けた契機になった。
 1万メートル日本記録保持者で双子の弟紘太(明成高-城西大出)とそろって東京五輪に出場するのが目標だ。「(ペースメーカーとして走る)紘太をうまく利用して、結果を残したい」。2人分の思いを背負って、スタートラインに立つ。(剣持雄治)