岩手、宮城両県にまたがる北上山地が建設候補地の超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致に関する政府の検討が、大詰めの段階を迎えつつある。日本学術会議が誘致を支持しない姿勢を示した一方、推進側は「科学的意義は認められている」と主張する。研究者の国際組織は政府に対し、3月7日までに誘致の意向を表明するよう求める。政府は難しい判断を迫られる。

 学術会議は昨年12月、文部科学省の審議依頼に「基礎科学分野の国際共同研究に日本が貢献する必要性は高い」と回答しつつ、「想定される科学的成果が巨額の経費負担に十分見合うとの認識には達しない」と結論付けた。
 7355億~8033億円と試算された総事業費についても、国際経費分担の見通しが得られていないことを課題に挙げた。
 政府に誘致を要請する研究者組織リニアコライダー国際推進委員会(LCB)は、費用負担も含め政府に計画主導を求める。
 加速器計画の国際協力を進める国際将来加速器委員会(ICFA)の会合が3月7日に東京で開催されるのに合わせ、政府の判断を期待する。表明が遅れれば、欧州で2020年に始まる新しい素粒子物理学戦略で、ILCへの協力が主要議題に採用されない可能性があるという。
 建設推進の超党派国会議員連盟の塩谷立幹事長(自民党)は「国際協議を始めないと費用分担の具体的な話は見えない。日本の科学技術振興のためにも挑戦が大事だ」と強調する。
 自民党議員らは昨年9月、ILC誘致実現連絡協議会(代表・河村建夫元官房長官)を設立した。党の東日本大震災復興加速化本部などで構成する。ILCを国家プロジェクトと位置付け、科学技術予算の枠外での財源確保を政府や官邸に働き掛ける。
 柴山昌彦文科相は1月25日の記者会見で「科学コミュニティーの理解や支持が必要だ」と議論継続の必要性を指摘。誘致の是非に関しては3月7日までの判断を排除せず「国際動向も注視しながら慎重に検討する」と述べた。