南相馬市小高区の市立小高病院の常勤医で病院管理者の藤井宏二氏(63)が、3月末での退職届を門馬和夫市長に送付したことが8日分かった。小高病院の有床診療所化を目指す病床再編案に門馬市長が賛同していることが理由。病床復活に反対してきた藤井氏は取材に「見解の相違がある」と説明した。
 小高区は2016年夏、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示がほぼ全域で解除された。地域医療を担う小高病院は現在、非常勤を含む3人の医師で外来のみ再開しており、唯一の常勤医が不在となれば、混乱は避けられそうにない。
 藤井氏は訪問診療やタブレット端末を使うオンライン遠隔診療を組み合わせた「小高型」を提唱。財政面などからも「病床は不要」との立場を取ってきた。
 門馬市長は昨年1月の市長選で、入院機能再開を公約に掲げて当選。市立病院改革プラン策定委員会は今月6日、公約に沿う形で「医師確保などの課題を解決した上で19床の有床診療所として入院機能の整備を目指す」とする病床再編計画の素案を市長に提出した。
 藤井氏は取材に「議論の肝心な部分は市民に公開しなかった。門馬氏は小高病院に一度も来たことがない。現場の状況を知らずに、病床を無理やりつくるのは不誠実だ」と話した。
 門馬市長は「再編案を関係者に説明したいと考えていたところで大変驚いている。地域にとって必要な人材であり、直接会って話をし、引き続き尽力いただけるようお願いしたい」との談話を出した。
 藤井氏は京都市内の病院勤務を経て、16年春に南相馬市に移り住んだ。