仙台市南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が2016年2月、いじめを苦に自殺して3年が過ぎた。市内では14年以降、この生徒を含む市立中生3人がいじめ被害を訴え、自ら命を絶った。女児へのいじめを苦に母親が無理心中したとみられる事件も起きた。生徒の父親は河北新報社の取材に「教訓が生かされていない」と憤り、「遺族でないと分からない苦しみがある」と遺族支援に力を入れる考えを示した。

 -昨年12月、市いじめ問題再調査委員会が再調査報告書をまとめた。
 「報告書には息子がつらさや苦しさで追い詰められた経過が書かれ、息子の訴えを学校が見逃したと指摘した。つらかった気持ちをやっと分かってもらえたと墓前に報告した」
 「自殺の直後は気持ちや頭の整理がつかず、体操着姿の中学生を見ると目で追った。声が聞こえるホームビデオは今も見られない」

 -昨年11月、泉区寺岡小2年の女児へのいじめを苦に、母親が無理心中したとみられる事件が起きた。
 「学校は適切な対応をしたのだろうか。低学年だと甘く見たのではないか。3件の自死があったのに、学校も市教委も3人の死を教訓にしていない。子どもはSOSを発した」
 「いじめられた女児を隔離したのもおかしい。関係した児童を校長室登校とすれば、女児は教室で授業を受けられ、給食も楽しく食べられた。学校や市教委は都合の悪いことを隠す。市教委ではなく、市長部局に設けたいじめ対策推進室主導で検証すべきだ」

 -いじめによる自殺事案が相次ぎ、遺族団体の役割が大きくなっている。
 「遺族は気持ちを整理することができず、夜は眠れない。何かの拍子に涙がこぼれる。これは、遺族同士でないと分からない。息子の後、折立中の自死があり、いじめられている人、悩んでいる人を助けたいと思うようになった。私自身も助けられた。恩返しの気持ちで、同じ境遇の家族にアドバイスしたい」

 -学校や市教委にはどんな対応を求めるか。
 「条例やマニュアルがあっても、教員の認識が異なると意味がない。担任になる前にいじめ対策の研修を受けるなど、制度上の担保が必要だ。口頭や紙の通達では、全ての教諭に届かない。普段からいじめを把握し、教員同士で情報を共有しないと解決できない」
 「いじめた側におとがめがないと、次の標的を探し、いじめを繰り返す。いじめは駄目だと更生させる必要がある。亡くなると、いじめられた側に原因を求めがちだが、将来があるからこそ悔い改めてほしい」

[メモ]仙台市南中山中の男子生徒の自殺を受け、市教委は2016年4月、第三者委員会に調査を諮問。17年3月に答申が出たが、遺族は「いじめと自死の関連性が示されていない」と再検証を要望した。郡和子市長就任後の17年9月に再調査を開始。18年12月に「いじめと自死は強い因果関係がある」などとする答申があり、遺族は受け入れを表明した。郡市長と佐々木洋教育長は謝罪した。